zineを売ると言う事。③(初級編)

こんにちは。

Books DANTALIONの堺です。

お久しぶりですみません。タイトルの通り、zineを売ると言う事について色々考えてみるこの企画ですが、いよいよ『③カフェや本屋に委託する。』についてお話したいと思います。

zineを作って…さてどうしよう、となってまず、周りの友人に配る、でもまだ余っているし、もっと多くの方に見て欲しい!となって、イベントスペースに置く…という話が前回までのお話でした。

もちろん、イベントスペースに置く事でも十分、色んな人に見て頂けますし、お買い上げ頂く機会もあります。

でも、もっと多くの人に継続的に見てほしい、購読してほしい、となった場合は『お店に置いてもらう』という方法がベストだと思います。

とは言っても、お店に置いてもらうなんて事、すごく難しくて自分には無理!という風に考える人は多いと思いますが、コツさえ覚えれば、ちょっとの勇気でお店に置いてもらう事は全然難しくありません。

今回の【zineを売ること。③】ではまず、
A【初めてお店に置いてもらう場合の『初級編』】
B【初めて書店に置いてもらう方法の『中級編』】
C【色々テクニックなどを用いた『応用編』】

以上の3回に分けてお話したいと思います。

今まで、zineやリトルプレスはその存在自体がまだマイナーで、置いてもらう事より、zineやリトルプレス自体の説明が難しいと言う事が難点でした。

でも、最近は多くのメディアにzineという言葉が取り上げられるようになってきたおかげで、インディーズの本屋さんやレコード屋さんだけでなく、大手の書店さんでも取り扱いが増えてきているのが現状です。そのため、比較的zineを置いてもらう営業がしやすくなってきたと言えるでしょう。

とはいえ、zineを置いてもらいやすいお店とそうでないお店があります。色々と理由があるのですが、今回は初めてお店に置いてもらう場合を想定してした『初級編』としてお話を進めたいと思います。

さて、それでは具体的にお店に置く手順のお話に移ります。

①zine、リトルプレスを用意する。
②置いてもらう場所を探す。
③お店に持っていく(郵送でもOKの場合があります)
④条件を決める
⑤納品する
⑥売れ行きや在庫状況などを定期的に把握する。
経験上、このような流れになります。

まず①は置いて②の説明に入ります。
①を作った後、自分が作ったzineがどのようなタイプのzineかを『何となく』でいいので把握しましょう。分かりにくい場合は、『どんな人に読んでほしいか』と言う事を考えるといいでしょう。その上でzineを置いて欲しいお店を選ぶと、数ある多くのお店の中で自分にあったお店を見つける事ができると思います。

これは本屋さんだけでなく、それ以外のお店、例えばレコード屋さんやカフェ、雑貨屋さんなどにも言える事です。

zineやリトルプレスの良いところは、『本でありながら、本屋さんだけではなく、カフェや雑貨屋さんにでも違和感なく置く事ができる』ということです。この考えはとても大事な事ですので覚えておいて損はありません。

とは言え、最初の段階でお店の違いを把握するのは難しいので、まずは『仲の良いお店』にお願いすると良いと思います。
その場合、行きつけのカフェであったり、雑貨屋さんなんかにお話をしてみるのが良いと思います。(本当はzineを専門的に扱っているお店に営業するのが一番良いのですがここではあえて省きます)

『営業』と考えるとしんどい部分も出てきますが、行きつけのお店であれば世間話の延長線上でお話も出来ますし、お店の人の態度も何となくわかると思いますので、慎重かつ情熱的にzineを置いて欲しいという熱意を伝えましょう。

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*ちなみにお店によってどうしても置いてもらえないところもたくさんあります。その時は丁寧にお店に御礼を言って、別の置いてもらえそうなところを探しましょう。その場合、いきなり次の中級編を試しても良いと思います。
実際にDANTALIONが作ったcanteraも残念ながら数多くのお店からお断りを頂きました。ですが、それでも仕方ないと割り切って、また別のお店にたくさんお声掛けをすると言う事はとても重要な事です。

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話が逸れましたがこのあたりで大体の条件(④)も準備して置きましょう。
まずは取引条件の相場のお話をします。
相場は大体6掛け〜7掛けくらいです。
掛けとは、取り分のことです。
500円で販売する場合、6掛けだと、300円が作り手側に、残り200円がお店側に入ります。
なので、このあたりの一冊売れたあたりでいくら金額が入るのかと言う事を考えて値段を設定しましょう。

次に委託か、買い取りかを決めます。
委託は「売れたら売れただけ金額が入る」
買い取りは「最初から全てお店に買ってもらう」というやり方です。
要するにどちらが在庫を抱えるかという事になります。
買い取りで置いて頂けるところはお店側の在庫を増やすことになるので、基本的には委託で置いてもらう形になります。もちろん、そうでない場合もあります。

委託条件が決まれば納品冊数を決めます。
そして⑤の納品冊数ですが最初は3冊〜5冊くらいで良いと思います。ここでワンポイントですが、一冊、サンプルを用意しましょう。サンプルを用意するメリットは多くあります。
例えば、袋詰めの作品の場合だと、お客さんが手に取った時に中身が見えないので購買に繋がりにくいと言う欠点があり、立ち読み用にサンプルがあると、その欠点を補う事が出来ます。
また、サンプルを読んでもらう事により、袋詰めの無いzineでも商品の劣化や痛みを回避する事もできます。

ここまで出来れば後はお店にzineを持っていくだけです。郵送でも構いませんが最初はお店に直に持っていくと良いと思います。この時に必要なものは3つです。
①商品
②サンプル
③納品書(買い取りの場合は請求書も)

納品書の書き方についてはお店によって違いがありますが以下の事を記載してあれば概ね問題ありません。
①納品日付、②納品相手名、③納品者名(連絡先も)④納品物タイトル⑤売値⑥納品冊数⑦(⑤と⑥の合計)

の以上6点になります。
初めての場合は納品書を文房具屋さんで買ってきて、それを見ながらお店の人に必要事項を確認しながら作成すると間違いが無くて取引がスムーズにいきます。

そして肝心の⑥ですが、仲の良いお店なら、遊びに行った時にチェックしましょう。チェックするのは以下の点に注意するといいと思います。

①何冊売れたか
②どこに置いてあるのか
③お店の人のお話

当然、売れ数やどこに置いてあるのかは自然と気になります。
後はお店の人の話のニュアンスを感じとります。
そのニュアンスの中から、お店に来たお客さんがどんな反応を持っているかを感じる事が出来ます。
売れていればそれでいいし、売れていないなら何が問題なのかを自分の中で考えるようにしましょう。
この時、自分の作品の訴える力が弱いとか、才能がないとか、ついついそう言う事で落ち込みそうになりますが、そこをぐっとこらえてPOP(紹介文)を付けてみるとか、友達に告知するとかそういった営業方法を考えるようにしましょう。売る努力は作る努力の4倍必要と言うそうです。
せっかくzineを作ったのだから、やっぱり多くの人に見てほしいという「初期衝動」を作る努力、作る楽しみだけでなく、売る努力も念頭に置いて行動してみましょう。
zineが売れるようになった時の「売る楽しみ」に気付いた時、あなたの世界はまた一つ大きく変わります。

さて、今回の初級編は少し長くなりましたがこちらで終わります。
次は「書店に置く!」中級編です。
色々、ドキドキしますが突っ込むところは突っ込みたいと思います。
お楽しみに。

また、今回の事でも結構ですし、質問、ご相談、ここをもう少し詳しく聞きたい!などあればコメントはご自由にどうぞ!

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